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自社にとっての最良のDX、IT活用とは?何が成功と失敗を分けるのか?

自社にとっての最良のDX、IT活用とは?何が成功と失敗を分けるのか?

2020年、パンデミックにより国内のみならず世界中の多くの業界でこれまでの当たり前が覆り、非接触が求められる中、デジタル化への適応を目指す企業が急増し、この状況下でDXへの取り組みは一気に加速しました。多くの企業でこれまで社内で何度も議論を繰り返しては実行に至らなかったデジタル対応を余儀なくされ、システムのクラウド移行などの取り組みが促進しました。しかし「自社ではDXが順調に進んでいる」と自信を持って言える企業は、国内においても決して多くはありません。
DXには投資だけでなく、大胆な組織、企業文化の変革も伴うがゆえに、「失敗するわけにはいかない」となかなか踏み切れない企業も多いはずです。
自社にとっての最良のDX実現のために、以降は「DXが失敗する原因は何か?」、「成功するために必要な取り組みは何か?」というポイントをご紹介します。

結論:DXの失敗のほとんどはマネジメントや組織文化が原因

DXが失敗する主な原因は技術ではなく、マネジメントや組織構造の変革への取り組みの有無にある、といっても過言ではありません。先日7〜8年ぶりにお会いした元取引先の経営層の方に、今の現場の課題や問題をお聞きした際に驚きました。7〜8年前にお聞きしていた状況とほぼ同じだったのです。思わず「確か数年前も同じ状況でしたが、改善に取り組もうとはされないんですか?」と尋ねてみると、返ってくる言葉は「予算がなくて・・」や「社員に抵抗があって・・」と出来ない理由ばかり。DXに取り組みたい、業務効率化を図りたいという意思とは相反して、現状のご方針やお取り組み内容、社内における浸透度には矛盾を感じてしまうこともありました。このような状況下でDXに取り組むとなると、必ずDXは失敗します。
DXはよく「ITを取り入れること」と思われる部分がありますが、ゴールはそこではなく、「自社が目指すところはどこか?」ということを明確にすることから始めることが成功への第一歩です。

 

自社のDXとは何か?定義や意味を会社ごとに統一する重要性

上記の図はアスクルが事業所向け(BtoB)サービス「ASKUL」に登録している事業所を対象に実施した、「働く人のDXに対する意識と職場のDXへの取り組み」に関する調査を実施し『「DX」という言葉を知っているか?(単一回答)』という問いに対しての回答結果です。
さらに、DXに向けて何に取り組むのかという問いには、「クラウドや人工知能を使うこと」や「新しいシステムを導入して業務効率を上げること」と様々な答えが出てきました。このようにDXが失敗する主な理由の1つにDXは明確な答えがなく、企業として具体的にどうしたらいいか正確に理解しにくいからではないかと感じました。

DXとは何か?その意味の曖昧さの多くは、変革を試みる組織において、変革の定義やそれが何を意味するのかを明確にしていないことが原因にあると感じています。

またDXは一気に実現するものではなく、段階的に取り組んでいくものであるため、DXに取り組むに際しては、まずは自社が今どの段階であるかを知ることが必要です。

 

DXを成功させるための5段階マネジメントモデル

DXの第一人者であり元P&Gの副社長のトニーサルダナ氏は自身の著書「なぜ、DXは失敗するのか?」の中で、DXの緊急性を理解し、デジタルが企業の「生きたDNA」となる目標を設定し、そこに到達するための「DX成熟度の5段階モデル」を紹介しています。


STAGE1:基礎固め

”Foundation”すなわち会社の「基盤」をしっかりと固めるために、販売や製造、そして財務など、業務の中にITを取り込み自動化を行います。例えば、いくつかのシステムをクラウドに移行したり、新たなシステムを開発して、より自動化された業務をまずは実現します。IT化に取り組めばDXは実現できる、と思われた方も多いのではないでしょうか。これはまだDXに向けての序章に過ぎません。

■ステージアップのためのポイント
①献身的なオーナーシップ
よくDXはシステム部門などの担当に任せたいという話が出てきがちですが、経営者が序盤から関わることに意味があります。DXはシステムを取り入れることがゴールではなく、あくまで会社の掲げる目標を達成することに意義があります。目標に向かう経営者自身の姿勢を見せ、目標をDX戦略に転換する際には一緒に検討し、戦略を実行に移す際の障壁を壊す役割を果たすことが鍵となります。

②反復試行を行う
日々行う業務で「もっとスムーズにできないか?」「時間が短縮できないか?」という見方を持つことです。またシステムを導入すると入れたっきり、入力したままになっていませんか?使用感や改善できる部分を常に考え、出てきたアイデアの中から、実施できそうなものをシステムに取り入れていく。こうした試行を繰り返し行うことで業務がより良く回っていきます。


STAGE2:個別対応

Siloed(サイロ化する)ビジネスにおけるサイロの意味は、個々の業務や事業部がそれぞれにシステムを活用して新しいビジネスモデルを考え生み出そうとすることにあります。例えば財務部門なら「なぜ月次で決算処理をする必要があるのか?」「本来リアルタイムであるべきではないか?」と考え実行し始めるようなケースです。ですがここでは、あくまで各部門や個々の業務に関する検討段階であるため、変革を推進する全体的な戦略はまだ存在していません。

■ステージアップのためのポイント
③権限強化
変革をもたらす各部門のリーダーには幅広く権限を与えることで、トップダウンで降りてきた指示やボトムアップで挙げられる相談や提案などに柔軟に対応できます。

④梃子(てこ)の選択
業界の当たり前を覆す、破壊的変化を起こしている企業はこれまでに今までのやり方とは全く異なる破壊的なビジネスモデルを生み出しています。またそのビジネスモデルを確立するためにデジタル技術を最も活用できる領域を把握できれば、あとはその領域でデジタルを戦略的に活用します。
コロナ前までは営業はお客様を訪問して打ち合わせするということが当たり前でしたが、今や簡単な打ち合わせはまずオンラインで対応という形になってきたのがまさしくその例です。


STAGE3:部分連携

STAGE1で取り組んだ自動化が完全に定着している状態ではあるものの、変革は部門単位など、まだまだ部分最適の状態です。各部門で行う業務は異なるため、利用するシステム同士の連携を行っていない企業も多いのですが、実は同じデータを活用していたり、他部門で利用しているデータが実は有効利用できるものだったという可能性もあります。まずは特にやりとりが多く発生している部門同士の連携を図っていきます。

■ステージアップのためのポイント
⑤効果的な変革モデル
どれほど社員の意識が高い企業であっても、経営戦略や方針が明確でないことがプロジェクトを失敗させる要因となっており、変革に向けた戦略が宣言されても変化はなかなか組織には定着しない、といったことが起こりえます。
プロジェクトを進める際には、組織に変化を浸透させる戦略を先に考え、そこから逆算して変化を設計する必要があります。

⑥戦略の充足性
1度きりの成功ではDXが成功したとはいえません。最良なDXの取り組みは持続させることが可能で、多数のイノベーションアイデアを活用し、それらを効率的に検証して、見込みが低いものは中断しながら有望な取り組みを残していきます。例えばある企業では「社内起業家精神プログラム」という計画を立て、社員誰もが社内で起業した場合の様々なアイデアを出しては、将来性のあるものを実行しています。


STAGES4:全体連携

部門間での連携が実施されれば、いよいよ会社全体で共通の仕組み(プラットフォームサービスなど)を利用し、その効果として短期的な変革の実現がみられます。ここでは企業が一度の改革で自らを再構築する能力が備わっているかが重要です。

■ステージアップのためのポイント
⑦デジタル再編成
従来の組織構造やIT環境に依存して変革を推進してしまうと、全体連携を実現する際には致命的となります。ITに関わる人材は「変革のエンジン」、デジタル技術は収益を上げるための「成長のエンジン」と考え、最近大手起業がITスキル、経験値の高い人材を多く採用しているのは、まさにステージアップの取り組みの一つと言えます。

⑧知識のアップデート​
最高のDXのアイデアが出てきても、それを最大限に活用する能力を持たなければ組織に根付かないことがあります。その原因はデジタル技術への理解不足です。本業に直接関わる知識や技術とは別に、破壊的な変化を引き起こす可能性が大きい技術の動向を常に把握しておく必要があります。


STAGE5:DNA化(会社の遺伝子を広く伝えていく)

組織のすべての社員に変革が浸透し、業務や業界の”当たり前”だったことが一新し、その変化が続いている状態です。ワークマンの変革はその典型的な例です。これまで建設現場で働く職人向けに提供していた高機能衣料品を一般客向けのデザインで販売したことや、売り場を一新し女性をターゲットにした店舗展開により、今では日頃使いのできる衣料品ブランドとして定着しつつあります。これこそが第5段階の真の定義であり、第4次産業革命に向けて会社を改革しそれを継続的に行うということです。

■成功のためのポイント

⑨アジャイル文化
アジャイルとはシステム開発ではよく使われる言葉ですが、計画・設計・実装・テストといった開発までのサイクルを細かく回し、改良し完成に近づけていくことを表します。大きな変化を社内で促進できている企業は、絶え間ない変化を厭わず、デジタル化を推進する能力を持続的に進化させることで、単発のDXで終わってしまうリスクを回避しています。

⑩現状維持
本当の意味でDXを実現している企業は、絶えずイノベーションを行い、業界のトレンドを主導し、業界のリーダーとしての位置を維持することができています。そしてこの状態の維持のためには、デジタル技術による破壊的変化がもたらす脅威の可能性を常に評価し、対策を考えておくことも重要です。


この内容を紹介している弊社でさえも、まだSTEP3〜4あたりに属していると感じています。DXの成功の90%はチェンジマネジメント・組織文化によって決まり、あくまで導入されたシステムなどの活用は残りの10%に過ぎないということを踏まえれば、、組織の変革のためのチャレンジも多く存在し、そのチャレンジを成功させるための規律も非常に重要です。成功している企業であるほど、イノベーションは創造的なチャレンジというよりも、規律のある定期的な取り組みということもできます。

 

DXに向けて必要なことは…

組織文化やマネジメントの変革は全ての段階で欠かせません。例えばコミュニケーションツールといった簡単で初歩的な仕組みを導入するようなことであっても、組織や従業員を巻き込んでシステムを変えるには、当然ながら会社の文化的な要素が大きく関わってきます。
もう少し詳しく説明すると、チャットのようなコミュニケーションツールでも導入当初の段階では、単純に社員同士のコミュニケーション円滑化のために導入することが多いため、会社全体の業務へのインパクトと予算額は比較的小さいものに受け取られがちです。また、今まで電話やメールでのコミュニケーションが当たり前だったために、突然そのやり方が変わることに社員の抵抗も多くあると思います。しかし、業務に対して変化は大きく起こせますし、一部の業務だけに利用を絞ってもある程度の成果を出せると思います。

そして、上記で説明したマネジメントモデルのSTEP5になると、企業文化の変革がより一層DXの成功を大きく左右します。STEP5では、例えば会社の報酬・表彰制度全体を再編成して、自社や業界に革新をもたらすような考え方の必要性を全社員に理解させる必要があります。実際会社内にルールが無いからと言ってイノベーションに挑戦した社員が称賛されないような大企業もたくさんあります。社員が自社から市場や業界に対して革新をどのようにして実現できるか、とうことを常に考えられるようになるには、非常にユニークな文化、それを支えるシステム、そして経営者のリーダーシップが必要です。

DXの実現、成功に向けては、どのような部分から変革を行っていくかというより、まずは会社が最終的にどこを目指すか目標を掲げ、その上で小さな部分(部門・部署)から仕組みを変えていき、変化に耐えられる会社の文化を作り上げていくことが重要です。

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